消防 採用試験体験談と体力試験官のアドバイス
消防士の採用試験前、どん底から採用試験に合格までの記録と、体力試験で試験官を経験した側としてのアドバイスです。
消防士になるまで
まず、初めに消防士になるためにはどうすればいいのか説明しておきます。
消防士になるためには市町村が実施する職員採用試験に合格する必要があります。
「市町村消防の原則」と言えば少し難しいかもしれませんが、法律で消防は「市町村の責任」ということが明記されています。
ですので、消防士は市町村の職員=地方公務員ということになります。
一次試験で点数を取ることが最重要
市町村の職員採用試験と言えば、一次試験が筆記(一般教養)、二次試験は面接、小論文、適正検査というのが定番です。(自治体によって多少異なりますが…)
それに消防職には体力試験が加わります。
一次試験合格者が二次試験に進めますが、二次試験を実施する際に一次試験の結果はリセットされません。一次試験の点数に、二次試験の点数が加算されていくわけです。

以上のことから、一番重点的に取り組むべき課題は一次試験の一般教養ということになります。とにかく知識を詰め込みましたね。
倍率の高い消防職員の採用試験は一次試験で点数を取ればとるだけ有利ですよ((o・д・)bグッジョブ♪
採用試験前の悲劇
私は二回目の採用試験で無事合格することができましたが、二回目の一次試験前に悲劇が起きました。採用試験に向けて勉強をする毎日でしたが、趣味の自転車で事故にあいました。

ハッキリ覚えていないけど、自転車で事故を起こした時に左膝が逆に曲がったのは覚えてます‼痛すぎて泣きました。(-̩̩̩-̩̩̩-̩̩-̩̩̩_-̩̩̩-̩-̩̩̩-̩̩̩)

左前十字靭帯断裂と半月板損傷です。
今後も運動するのであれば手術は必須ですが、術後は半年間運動はできませんよ。

実は、消防の採用試験前で一次試験に合格すれば体力試験があり、採用後は4月から消防学校に行くことになります。

それなら、手術は先延ばしにして、今は一次試験の勉強に専念してください。一次試験に合格するのが前提ですが、二次試験後すぐに手術をして結果を待ちましょう。それなら、消防学校の入校にもギリギリ間に合いますよ‼
一時はどん底を味わいましたが、医師のアドバイスで気を持ち直しました。
ケガで自由に動き回ることができなくったことで、やる気スイッチが入った僕は勉強時間も格段に増え無事に一次試験に合格しました。
体力試験では不正を疑われる
一次試験を合格したものの、ケガで全く運動せず勉強ばっかりやっていたので肥満体型になって居ました。さらに、日常正確に制限も多く、ケガが悪化しないように寝るとき以外は装具を付けている状態です。


下半身の種目は諦めて、懸垂、腹筋、握力、立位体前屈など出来ることを全力でやるだけ!d((o゚c_,゚o))b オッケェ牧場♪
というわけで、現実は受け入れるしかないので、懸垂などに注力してトレーニングを積み重ねました。
そして、体力試験当日も装具を付けて試験会場へ。事故にあったことの後ろめたさから装具はバレたくないと思い、長ズボンで受験しました。
試験官数人が、なにやら長ズボンの下に何かつけている怪しい者がいるという感じて、ザワザワしているのが分かりました。

ちょっとこっちに来て、ズボンの下を見せなさい。
担当の試験官に諸事情を話したら理解を示してくれて、無理しないように、場合によっては試験をやめる判断も大切と言われました。

ありがたいアドバイスでしたが、そこで辞めていたら二度とチャンスはなかったと思いますね。(・ω・ゞ
消防士になってから
合格発表の数字後、お世話になった人たちにお礼に回りました。

先生お世話になりました。

頑張ったのは私ではない、君だよ‼

…٩(๑꒦ິȏ꒦ິ๑)۶ 泣いてなんてないモン!
その時の医師の言葉には痺れましたね、感謝してもしきれないくらいでした。
さて、無事試験を突破すると、いよいよ消防士拝命です。
そして、いざ現場へ出場‼
ということにはなりません。笑
新米が現場で活動するために、基礎を学ぶ必要があるので、消防学校で約半年間の初任教育を受けることになります。
消防学校入校中の体力測定は…
消防学校の入校までにリハビリを重ね、装具は外して良いレベルにまで回復していざ消防学校へ。
入校中には体力測定が数回あります。
各市町村の猛者が集まっているので非常にレベルが高いんですが、僕の場合やはり足を使う種目は散々でした。うろ覚えですが、1500m走が6分30秒、100m走が15秒、立ち三段跳びが6mだったと思います。

膝の装具を外したとはいえ、左足の筋力が極端に減っていて、左右のバランスが悪く、それをかばおうとあらゆる所が痛みました…
消防士は体力が資本
初任教育が終わってからは現場に出動するようになりました。
当時23歳だった僕は人数の少ない出張所に勤務していましたが、現場の活動には体力が必要だと痛感したのを覚えています。
当時一緒に勤務していた先輩に影響されマラソンにハマった時期がありました。

フルマラソンの自己ベストは3時間30分です。
素人ランナーにしては悪くない水準壁∥*´ω`)bグッ
マラソンで持久力を得た僕ですが、消防の現場ではどうしても筋力が必要です。マラソンだけでは不十分だと判断して筋トレを始めました。
筋トレで膝の痛みは完治
フルマラソンに没頭していた頃も、ケガの後遺症?に悩まされていて、膝の痛みが出ることが多々ありました。
その頃、筋トレの一環でスクワットを始めました。

スクワットって膝に悪いイメージだったので初めは怖かったです。
しかし、これが正解で今では全く痛むことはありません。
今では左右のバランスもなく高重量のスクワットも難なくこなすことができるようになりました。

当時の僕を知っている人は皆例外なく驚きますw
体力試験の試験官としてアドバイス

体力試験の試験官をやったこともあるのでアドバイスします‼
体力試験の種目は主に次のとおりです。
腹筋、懸垂、握力、反復横跳び、立三段跳び、体前屈、シャトルラン、1500m走などです。
各自治体によって種目は多少異なりますが、基本的には、文科省の新体力測定実施要項に懸垂が加わったたものがベースになっています。受験される方は一度は確認しておくと良いでしょう。
詳しく言えませんが、ネットで検索すると体力試験の合格基準が複数公開されているので検索してみるといいでしょう。自治体によって多少の違いはありますが大体似ていますね。
二次試験を迎えるにあたって、まともに身体を動かすのは久しぶりという人が多いはずです。
というのも、先に書いたように一次試験の突破こそが最重要なのでこれは仕方ありません、そこで一次試験から二次試験までの期間にできる事について書きます。
体重は軽いに越したことはない
一次試験から二次試験までの期間は、市町村でバラつきはあるものの大体は1か月程度だと思います。
正直この期間で筋力の成長はできません、そこは諦めましょう。
そこで考え方を変えてみます。

今の体力を100%発揮するためにできることは、まず体重を落とすこと!

懸垂を一回伸ばす筋力をつけるより、筋力はそのままでも体重を落として身体を軽くする方がよっぽど早いってことね壁∥*´ω`)bグッ
消防隊員の体格は千差万別ですが、消防体力試験は明らかに軽量級向けと言っていいです。人によってはスクワット、ベンチプレス、デッドリフトなどウエイトトレーニングが得意な人いると思いますが、高重量を扱えることは世間一般的にはすごくても、体力試験の評価には直接関係ありません。
体重を落として軽い身体を造ることで、あらゆる種目も軽快にこなすことが期待されます。
※減量は失敗すると逆に力が発揮できないこともあるので詳しい人に相談してください。コメントで質問頂けると回答しますよ。
体力試験は戦略で乗り越えろ
一次試験合格してから二次試験まであまり時間はありません、この短い期間の過ごし方は体力試験の結果を大きく左右しますので、より精度の高い戦略(計画)が必要になってきます。

なんでも出来るすごい人って稀にいますが、普通は得意、不得意がありますよね。
A君は1500m走は得意だけど、懸垂はめっぽう苦手です。
A君は1500mは8点~9点の水準ですが、懸垂がめっぽう弱く3点くらいしかできませんでした。
A君の場合で例えると、1500m走よりも懸垂の伸び代が大きいので、1500m走の得点を上げる努力より、懸垂の得点を上げる方に限られた時間を使った方がいいです。
より多くの得点を稼げる種目に注力するのが大事です。

まずは自分の現状を分析して、どのトレーニングに重点を置くのか考えてみるのが大事ですね。
また、体力試験当日の計画も必要です。

受験生のB君は懸垂がめっぽう得意で試験当日の懸垂回数は30回でした。
実は体力試験の各種目には点数が割り振らています。
懸垂は18回で満点の10点を取ることができます。ですので、B君は18回で満点なのにそこから12回余分に体力を消耗したと言っていいと思います。

B君の実力はすごいけど、18回以上やって頑張ったという事実は試験官の心の中にしか残らないんですよ。

試験官の心に残れば何かしらのプラス評価につながるんじゃないの?

体力試験の試験官は、採点表に沿って事実を集計し、上司に提出するまでが仕事なので、満点以上の努力は上司まで届きません。(´;Д;`)
また、このようなパターンもあります。

C君は体力試験の懸垂ペースが極端に落ちてきて、限界が近いのが分かりました。いよいよ一回も懸垂ができい状態になりましたが、なんとか鉄棒にぶら下がっています。
そこから数分ぶら下がりの時間が続きました…
そんなC君の頑張る姿は、我々試験官の心に今でも残っています。

だけど、C君の努力は記録には残らないってことね。+゚(。pдq)+゚
自分の限界を知って、体力試験全体の結果が良くなるように戦略を立てることが大事です。
懸垂が自分の限界まで到達したなら、そこから数回粘ってもダメなので、きっぱり諦めて次の種目に余力を使うことができます。
ルールを順守しよう
D君は試験開始前から緊張の面持ち、心臓の鼓動が試験官まで伝わってきそうです。

懸垂は肘を全部伸ばした状態から、顎が鉄棒より上に上がるまでしっかり確実に行って下さい。
懸垂は新体力測定実施要項に載っていないので少し説明します。
肘をすべて伸ばした状態から、顎が鉄棒より上に上がるまでの回数を繰り返します。ペースにも指定があり、概ね2秒~3秒のあいだに試験が笛などで合図をします、それより早くても遅くてもダメです。
緊張からかD君は肘の伸ばし具合が甘かったり、顎が鉄棒を超えていないことが数回ありました。

D君は15回実施したけど、記録は12回でした。
このように、消防職(公務員)は決まりを守ることにはとても厳しいです。法令等の根拠に基づいて仕事をしますので、体力試験でも「D君は顎が甘かったけど、頑張ったからOK‼」とはなりません。
各自治体で定められた体力試験実施要項の確認は忘れずに行い、必ずルールは守るようにしてください。
これから消防を志す人へ
今回は実体験を交えて消防体力試験にフォーカスした記事を書きました。
私の個人的な話は忘れても結構なんですが、体力試験を務めた試験官側のアドバイスは、受験するうえで少なからず役に立つと思いますので参考にしてみてください。これだけ倍率の高い試験に挑んでる訳ですから確固たる志望動機もあると思います、応援していますよ。
消防職は社会的役割も明確で、市民からとても期待される存在です。その分、やりがいにあふれた仕事と言っていいでしょう。個人的に消防職員になってよかったです。

初心を忘れず、市民の要望に応えられる消防人になるため日々努力していきましょう‼
体力の衰えは想像以上に速い
採用後は度々体力測定があります、特に救助隊員は必須です。
一度作った身体も継続しないと急速に衰えてケガに繋がるので注意して下さい。自戒を含めて。。。

僕が毎日勤務(日勤)だったの頃の体力測定です。上半身は維持できていましたが、下半身と心肺機能の衰えがすごいかったのを覚えています。
脳内では1500m走を4分台で走れていた頃のイメージでしたが、実際は散々な結果でした。・゚・(。д。)・゚・w
現在は反省を含めて継続的にバランスよくトレーニングしていますよ!

関連書籍
もと消防士が書いた本で基本的なことが書かれていますので参考にしてみて下さい。

消防士になる人が読む本〜採用試験・学校生活・体力錬成の気になる全部詰め込みました〜: 消防王完全版 (防災王)
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