久しぶりの消防ネタです。
秋ですね、消防採用試験の時期というイメージです。受験生の皆さんには全力を尽くしてほしいと思います。二次試験の対策については、すでに予備校などで研究され尽くしていますが、本当に大切な本質を見失わないようにしてくださいね。上辺だけ塗り固めてもダメです。詳しくは前回の記事を参考にされてください。
さて、今日は消防の給料や労働条件について書いてみたいと思います。
消防士を目指している人って、給与体系とか、労働条件ってどうなんだろうと思いますよね。そんなアナタのヒントになれば幸いです。
消防士も労働者の一人
まず当然ながら消防職員と言っても労働者の一人です。一般的なサラリーマンが会社に雇われているように、消防職員は地方公共団体に雇われています。
労働者の悲惨な姿を表す言葉として、サラリーマンの場合は社畜(会社の家畜)という表現があります。その同義語として、公務員の場合は公僕(公共のしもべ)という言葉があります。

個人的にはどちらも大嫌いな表現ですw
自分の意志がないように感じてしまいますね。
しかしながら、労働者ですから雇い主とは主従の関係があるのは仕方がないことです。
消防士って何時間働くの?
これは消防士に限ったことではありませんが、1997年の4月1日から週40時間制になりました。勤務体系に限らず週に40時間までという決まりがあるわけです。
現場で働く消防士は一度出勤すれば署で24時間過ごしますが、その内16時間が勤務時間扱いで、それ以外は仮眠時間となっています。もちろん、仮眠時間に出動することもザラにありますが、その場合は時間外勤務(残業扱い)として処理されます。
現場で消防士の勤務体系には大きく分けて、2部制と3部制の2つがあります。


3部制は、2部制と比較して多くの人員が必要となり、経費負担も大きいとされており、人員に余裕のある消防以外は2部制を採用してるところが多いです(実に6割が2部制)。しかし例外もあって、人員人は少ないけど3部制をとっている消防もありますので一概には言いきれません。
消防士には労働三権がない!?
日本の法律の最上位にある憲法で労働と権利と義務が明記させています。労働基準法、労働安全衛生法、労働組合法によって労働者の基本的権利を保障しています。
さらに、労働基本権は、団結権・団体交渉権・争議権の3つの権利で構成され、労働三権と言われています。しかし、消防には労働三権が認められていません。(警察、海上保安庁、自衛隊なども同じく)

消防に関しては、先進国G7の中でも
日本だけなんですよ(^^;

しかし、どうして?と疑問になりますよね。それに対するお上の見解はコチラです。
- 消防職員は、その職責上、国民の生命、財産を守るため、一身の危険を顧みず職務を遂行する義務を負う。
- その具体の活動に当たっては、厳正な規律と統制のとれた迅速果敢な部隊活動が常に求められている。
- 消防職員に団結権を認めることにより上司と部下の対抗関係をもたらし、上命下服の服務規律を維持することが困難になることが予想される。
一言でまとめると、「労働条件について上司に文句を言えるような環境だと、災害対応に支障がでかねない」ということなのです。
消防職員委員会制度
労働三権が認められないということは、今風に言えばブラックな職場まっしぐらですよね。管理職以上の上司が言うことは絶対!と聞くと危ない感じもしますが、組織として指揮命令系統が機能がしっかりと機能していることとの線引きがとても難しいのです。
その対策として、消防組織法が改正され消防職員委員会制度が導入されました。委員会審議の対象は以下の①~③と幅広くなっています。
①消防職員の給与、勤務時間その他の勤務条件及び厚生福利に関すること
②消防職員の職務遂行上必要な被服及び装備品に関すること
③消防の用に供する設備、機械器具その他の施設に関すること

法令に基づいた委員会なので、こちらに提出されて意見に対しては消防の幹部も真摯に向き合わないといけません。つまり、上司に物申したいならこの委員会を活用しましょう。(逆に、ここしかありません。)
詳しくはコチラ

基本給+手当 でガッチリ?
消防士の給料ってぶっちゃけどうなのか気になりますよね。その疑問にお答えしたいと思います。
結論から書くと、お金持ちの自治体ほど給与が高いです。日本一は東京消防庁だったような・・・(うろ覚えです。)
消防士の給与(地方公務員)は人事院勧告により左右されます。
人事院
人事院(じんじいん、英語: National Personnel Authority、略称:NPA)は、日本の行政機関の一つである。
国家公務員法の第2章に基づいて設置された「中央人事行政機関」である。国家公務員の人事管理の公正中立と統一を確保し、労働基本権制約の代償機能を果たすため、いわゆる行政委員会として人事院規則の制定改廃や不利益処分審査の判定、給与に関する勧告など、人事行政に広汎な権限を有する。人事行政の公平を保つため、その権限は内閣から独立して行使することができる。
Wikipediaより
簡単に言うと、独立の機関が公務員の仕事を公平に判定しています。給与で言うと、民間より高すぎないか?安すぎないか?など目を光らせている訳です。人事院勧告の対象は国家公務員ですが、地方公務員はそれに追従するように給与など改定される傾向にあります。
最新の勧告では好調な景気によって民間の給与が順調に増加していることを踏まえ、引上げとなっています。

自治体によって多少の誤差はありますが、年収の平均は700万円台、月収は30~40万円台、諸手当が60万円くらいといわれています。年収をかさ上げしてるのは手当なんです。
一般的な公務員に支給される、時間外手当、住居手当、通勤手当、扶養手当、休日手当などのほかに、特殊勤務手当があります。
ちなみに、消防歴12年目の僕でも、年間約60万円くらいは手当による収入です。

手当の額は年収アップに直結しますので
要確認です。
特殊勤務手当の種類
出動手当 | ~1000円/1回 (消防、救急、はしご、機関員、潜水など) |
火災調査手当 | ~300円/1回 |
査察業務手当 | ~330円/1回 |
ヘリコプター従事手当 | ~5600円/1回 |
夜間緊急招集手当 | ~1300円/1回3時間以上 |
休日手当 | ~2000円/1日 ※基本給による |
地域手当 | 基本給の○%など |
深夜勤務手当 | ~490円/1日 |
暴風時勤務手当 |
~1000円/1時間 ~1000円/1件 |
※個人的に知っている情報の寄せ集めなので、参考程度にしてくださいね。(所属する自治体によって大幅に異なります。)
例えば救急出動なんて1日平均10件なんて署も沢山ありますから、これを年に換算するとスゴイ額ですよね。
消防士の給与は条例等で定められていますので、「○○市 給与 条例(規則)」などで検索してみてください。手当の種類と金額までしっかり明記されています。
さて、上で紹介した諸手当ですが、自治体ごとに大きな差があります。実際には手当がほとんどつかない自治体もありますので採用前に一度は確認しておういたほうがいいでしょう。

これから消防士になる人は
要チェックですよ(^^♪
まとめ
消防士の労働条件や給与について書いてみました。
詳しい勤務体系については、色々なページに掲載されていましたが、手当についてまとめられているページが少ないので、消防士を志す人にとって参考になればいいとな思います。
実際、筋トレ関係の知り合いで消防士の給与について赤裸々に話したところ、就職先が海上保安庁に変わった人もいます(給料が高いから)。就職は人生の分かれ道、決してお金だけが判断材料ではないと思いますが、一つの判断材料として知っておくことは大切ではないかと思います。
ちなみに僕の働いている消防署は全国的に見ると恵まれていない(給与・労働条件ともに改善の余地あり)と思いますが、総合的に判断して今の職場には満足していますよ。
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