今年もまた採用試験が近づいてきましたね。
僕は消防士を目指す人に会うと積極的に応援するようにしています。
というのも、右も左もわからない過去の自分が消防士になれたのも、応援してくれる人がいたからです。
その恩を返す(循環)させないといけません。
消防士になるためには、まずは筆記の公務員試験対策が必須なのですが、それに関しては、より優秀なプロにお任せして、現任の消防士ならではの役に立つ記事を書きます。
消防の仕事は救急、救助、消火、火災予防などなどですが、市民の安心安全を守るために必要な資格があります。
消防士を目指すうえで、どんな資格を保有すれば有利なんだろうと思っている人は多いと思いますので参考にしてみてください。

資格保持者しかできない活動が結構ありますよ。
組織内では、資格がその人の地位を決めます。地位を得られる反面、それ相応の責任が付いてきます。
資格保持者が事故を起こすと’’個人の責任’’、無資格者に活動をさせると’’組織の責任’’といった感じですね。
現在保有している資格など
僕の場合で解説していきます、2020年7月現在までに取得した主な資格等です。
消防士になる前、工業高校で取得した資格など
- 英検準2級
- ガス・アーク溶接
- 危険物取扱者(1類2類5類)
- 第二種電気工事
- 3級自動車整備
- 2級ボイラー技士
- 小型船舶2級(昔は水上バイクもOK)
専門学校で取得した資格など
- 救急救命士
消防士になってから取得した資格など
- 大型自動車、大型2輪
- 潜水士
- 小型船舶1級
- 予防技術検定(立入査察)
- 可搬消防ポンプ整備資格
- 小型移動式クレーン、玉掛け
- ロープ高所作業
ざっくりとこんな感じです。
この中で実務につながっている(つながった)資格
- 大型自動車免許
- 潜水士
- 小型船舶
- 小型移動式クレーン・玉掛け
- 予防技術検定
- 可搬消防ポンプ整備資格
- 3級自動車整備士
- 救急救命士
順を追って説明します。
大型自動車免許

意外に思われるかもしれませんが、最近の消防車は大型サイズの車両が少なくなってきています。
というのも、中型免許や準中型など免許制度の変更の影響で、これまで大型免許でしか運転できなかった車両が中型免許で運転可能になっていることや、
新制度になって免許取得の負担(お金や時間)が増えたことで、大きい車両よりコンパクトなサイズの要望が増えていると業者さんが言っていました。
ただし、大型免許が必要な消防車両は無くなりませんので、消防の仕事を極めたいなら大型免許は絶対取っておきたいですね。
はしご車など特殊な車両は、車の運転以外にも運用のための教育を受ける必要があります。(各組織で異なります。)

とくに選任隊ではない兼任の組織なら、
機関運用も何でもやらないといけませんよ。
潜水士、小型船舶

消防士になって、初めに拝命された署は海沿いで、水難事故に備えて水難救助隊が配置されていました。
それもあって、潜水士と小型船舶(水上バイク含む)の資格を取得、その後水難救助隊に任命されました。
昔は小型船舶の免許で水上バイクも運転できましたが、今は別々の免許になっていますね。時代を感じます。

潜水士の試験が筆記だけなのは
今でも謎ですw。
小型移動式クレーン・玉掛け

次は救助隊員にはマストな、小型移動式クレーン・玉掛けの技能講習です。
クレーンの搭載されている救助工作車(Ⅱ型)を運用するために必要になります。※画像にある小型クレーンの場合は、資格ではなく技能講習でOK。
ざっくり説明すると、小型移動式クレーンは車両についているクレーンを操作するために必要、玉掛けの技能は吊り上げる物を掛けるのに必要です。
予防技術検定
予防技術検定とは、
消防本部及び消防署等の機関には、建築物の大規模化・複雑化等に伴い高度化・専門化する予防業務を的確に行うため、火災の予防に関する高度な知識及び技術を有する「予防技術資格者」を配置することとされています。
この予防技術資格者になるためには、’’予防技術検定’’に合格する必要があります。

あまり知られていませんが、消防は管轄内の建物の査察(立入検査)を随時行っておりますので、予防の知識は絶対に必要になります。
署の査察業務を1年担当した後に受験、見事合格しました。その後に予防業務を離れたので、予防技術資格者の資格には至っていません。
苦手意識の強い人が多い予防業務、消防戦術と切っても切り離せませんので興味のある方は、勢いで受験してみましょう!

鉄は熱いうちに打て!ですね。
自動車整備士

整備管理者とは、
大型車両5台以上を備える事業所で整備管理者を選任しなければなりません。(道路運送車両法 第50条)整備管理者には特定の研修を修了した者のほか、自動車整備士(1級~3級)の技能検定を修了した者ということになっています。
僕は3級自動車整備士の資格を保有してるので、今年から勤務する消防署の整備管理者を任命されました。
大型車両5台というのは消防署では普通ですが、小さな分所や出張所などは、そもそも車両が少ないので不要です。

うちの場合は、
はしご車、救助工作車、水槽付ポンプ車3台、水槽車が大型車両登録となっています。
うちの消防署には、本格的な整備をする施設はありませんが、画像のような軽作業はお手の物です。
可搬消防ポンプ整備資格
一般的に消防隊が言うポンプとは消防車に積載させてるものを言いますが、可搬消防ポンプは、主に消防団や自主防災組織に配備させているのが可搬式の消防ポンプです。
可搬消防ポンプの講習は、自動車整備士の資格を保有していることもあって比較的簡単に感じました。所属に整備する環境(工具一式や作業場)揃えば楽しそうです。
大きいサイズから小さいタイプまであります。
消防団操法大会の前後にだけ?整備の依頼があり忙しくなります。w
可搬消防ポンプってこんなやつです↓↓
救急救命士
消防が運用する救急車は主に高規格救急車と2B型の救急車の2種類あります。
2Bというのはベッドが2つあるいわゆる’’ツーベッド型’’の略称で、昔の救急車はこのタイプでした。
しかし、救命資機材の増加、救急救命士制度の発展と共に救急救命処置資器材が増え、新しい規格の高規格の救急車(もちろんベッドは1つ)が生まれ、現在では高規格救急車が主流になっています。
ちなみに、車両のベースは日産キャラバンやトヨタのハイエースがありますが、現在のところハイエースが圧倒的シェアです。
救急隊は3人以上で編成されますが、この高規格救急車には救急救命士が最低でも一人乗車することになっています。

救急救命士は一般の救急隊員とは違って
高度な処置を行うことができます。
僕も救急救命士なんです。
資格持っていれば有利?
さて、色々な仕事に使う資格を書いてみましたが、気になるのは資格を持っていると採用試験は有利かどうか?でしょう。
僕もそう思ってました。採用前は危険物取扱の資格とか勉強したりしましたから。w
お答えしましょう。
ズバリ「救急救命士資格は有利」、それ以外は「採用にはあまり関係ない」と思います。
上でも触れましたが、高規格救急車には必ず1人は救急救命士が乗車する必要があります。それならその日に1人いればいいのかと言うと、そうじゃありません。
冠婚葬祭、研修、病気、ケガ、外部派遣など、署内でもあらゆる事情が発生します。
それでも、一日に十数件出動する救急車には必ず一人は救急救命士が乗車する必要があります。ですので、1日に複数人の救急救命士を確保しておく必要があるわけです。
また、それでも退職や昇任、救急隊以外への異動もありますから、組織として救急救命士は確保しておきたいのが本音(多いに越したことはない)なのです。
消防士を業務命令で、救急救命士養成所に派遣して資格を取得させる方法もありますが、所属に欠員がでることと、救命士要請費用○百万円がかかります。。。
だから、救急救命士採用枠を設けている消防があるんですよ。

それなら資格持っている人採用した方が
いいよね。ってなるのが人情でしょう。
あとは察してください。
それに比べて他の資格は高くても数万円程度で受験・受講できますから、しっかり勉強さえすれば取得はさほど難しくないのです。
まとめ
資格について書いてみました。
結論として、救急救命士は採用に有利になることがありますが、その他の資格はさほど有利に働かない可能性がたかいです。それよりも、一次試験対策の勉強に情熱を傾けた方がよいでしょう。
それでは、僕のように沢山の資格を保有していることに意味がなかったかというと、そんなことありません。
その人の中身を知らないうちは、書類上で判断してしうのが人間です。
資格欄が真っ白の人と、色々取得している人の差は歴然でしょう。
救急救命士の専門学校に通っている方は、救急救命士採用枠のある消防を受験することを勧めます。〇〇枠があるところはライバルが少ないので倍率的に有利です。

救急救命士採用枠、女性枠、経験者枠、
語学枠などは聞いたことがあります。
また、一般的な公務員対策の専門学校に通っている方は、試験対策の勉強を頑張ってください。救命士がうらやましいのは分かりますが、一番の難関は一次試験です。救命士の国家資格勉強していない分、圧倒的に有利です。同じ土俵で戦えばほぼ負けないでしょう。
最後に資格に関してですが、僕は興味があるときに取っておいた方がいいと言っています。
無理して興味のない所に時間を費やすのはナンセンスですが、逆に興味のあることは深堀して資格まで取得しておきましょう。いつか絶対にあなたの役にたちますよ。
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